裁判員制度と精神鑑定の需要増加
日本では裁判員制度が導入されてから、裁判の過程で被告人の精神状態を評価する精神鑑定の需要が顕著に増加しています。
この鑑定は、事件当時の被告人の刑事責任能力が問題とされる場合に、専門の医師によって行われます。
裁判員制度のスタート以降、鑑定留置の件数が急増し、裁判を迅速に進めるためにも事前に争点を明確にする必要があるためです。
しかし、この重要な役割を担う医師の数は、需要に追いついていません。
精神科医不足と質の確保
日本全国には約16,000人の精神科医がいますが、高品質な鑑定を実施できると認定された医師はたった54人にとどまっています。
この不足は、鑑定の質に疑問を投げかけるケースも発生しており、経験豊富な医師が指導する中で、若手や中堅の精神科医の育成が急務とされています。
特に実際の事件を題材にした事例検討会が開かれることで、実践的な知識と経験を身につける機会が提供されています。