ピアノから始まる舞台構想
坂本さんが舞台の構想を始めたのは2017年、1度目のがんの治療から復帰した後です。
舞台制作のきっかけとなったのは、ある美術館の展示でした。
特に印象深かったのは、東日本大震災の津波で浸水したピアノを美術館に持ち込んだことです。
このピアノを用いて、地球の動きのデータを音で表現する実験を行い、ピアノが永遠に演奏を続けることを可能にする新しい表現方法を探求しました。
時間を超える音楽の探求
このピアノの実験は、坂本さんにとって時間の概念を再考する契機となりました。
時間に縛られず、無限に続く表現を音楽を通じて探求する中で、ピアノから生み出される音が持つ無限の可能性に気づきました。
彼はこの体験を、将来の舞台演出にどう組み込むかを考え、田中泯さんとのコラボレーションを企画するまでに至ります。
ピアノとダンスの融合によって、新たな時間の表現と対話を試みたのです。