時事ニュース

イラク北部女性たちのISからの被害と支援状況

イラク北部での迫害の過去と現在

>>イラク北部で暮らす女性たちについてです。

彼女たち、少数派のヤジディ教徒は2014年、過激派組織IS・イスラミックステートから激しい迫害を受けました。

そのISは、当時、シリアの内戦の混乱に乗じて勢力を一気に拡大しました。

人々を残忍に殺害する映像を公開するなどして、恐怖をあおって、住民を支配したんです。

そのISですが、10年前のちょうどきょうですね、一方的にイスラム国家の樹立を宣言しました。

このイラクとシリアにまたがる広大な地域をこれを支配下に置きまして、世界に衝撃を与えたんです。

そのISはヤジディの人たちを異教徒だとして殺害したほかに、多くの女性たちを連れ去って性暴力を加え続けたんです。

10年がたった今も、彼女たちの心には大きな傷痕を残したままとなっています。

現状をイラクで取材しました。

>>イラク北部の町、ドホーク。

第2の都市モスルの近くにあり、10年前はISの脅威にさらされました。

今では活気を取り戻しています。

現在求められる支援の形と国際社会の関心の変動

>>侵攻から10年。

今、最も求められているのが、トゥラッヤさんのような人たちへのサポートです。

取り組んできた関係者は、傷ついた女性たちへの心のケアや仕事探しなど、息の長い支援をしていく必要があると訴えます。

>>女性たちのサポートというのは十分ではないということでしょうか。

>>そうですね、十分とは到底言えないと思います。

今、国際社会の関心というのがウクライナですとかガザの紛争などに至っていますよね。

ISによる被害者への支援というのは減ってきているのは実情なんです。

>>そもそもISですけれども、今、現状はどうなってるんでしょうか。

>>そうですね、IS、軍事的には支配地域を失っています。

それはそのISが世界各地でテロを呼びかけたことで、アメリカなどがISの拠点への空爆などの攻撃を強化したと。

その結果、弱体化していったんです。

こうしたことを受けて、イラクでは、今では10年前に比べて、テロの件数というのは減少していますし、治安も改善されています。

特にイラクの北部ですね、ここは治安が安定していまして、日本企業も含め、多くの外国企業が進出して、経済活動も活発になりつつあります。

>>ISが組織として弱体化したということは、脅威は減ったと考えられるんですか?>>必ずしもそうではなくて、テロの脅威は続いていると思います。

今年3月には、ロシアの首都のモスクワ近郊のコンサートホールで、テロ事件が起きて、これについてはISによる関与が伝えられています。

また今、ガザ地区での戦闘をきっかけに、ISなどの過激思想というのが、再び若者たちを引きつけるおそれもあると思います。

10年前、私は駐在していてISについて取材していましたが、ISはこの地域に根強くあるアメリカに反発する感情、反米感情につけ込んで、暴力的な思想を浸透させていました。

また、その当時、シリアの内戦で同じイスラム教徒が迫害を受けているから、助けるべきなんだと呼びかけて、そのイスラム教徒の同胞意識というのに訴えかける手口というのをISは使っていました。

ですので、今、ガザ地区でイスラエルによる攻撃が続いていますけれども、こうした中で、ISなどの過激派が、これを口実にして、若者をリクルートするというおそれもあると思います。

ISが世界を震撼させてから10年になりますけれども、ISなどの過激派組織の動向、そしてまたそれを生み出す背景というのに関心を持ち続ける必要があると思います。

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