復旧の遅れと現場の困難
>>きょうで能登半島地震の発生から半年です。
これまでに熊本地震を上回る281人が亡くなったことが確認され、
3人が行方不明になっています。
>>復旧は少しずつ進められてい
ますが、
輪島市の朝市通りでの公費解体は先月に始まったばかりで、
各地で倒壊した建物の多くが残されたままで、交通の便の悪さなど
から、解体や撤去に時間がかかっています。
>>黙とう。
>>津波の被害を受けた地区では、まだ避難先から戻っていない人も
多いといいます。
>>きょうも、
住宅の片づけを続けている人がいます。
>>珠洲市の1次避難所には、
自宅の修理が終わらない人など、今もおよそ50人が身を寄せてい
ます。
>>石川県内でいまだに1次避難所で過ごす人は、900人近くに
上ります。
被災者の奮闘と支援の重要性
被災地を視察した岸田総理大臣は。
>>なぜ復旧がなかなか進まないのか。
石川県内の住宅への被害は8万4000棟余りに上り、
全半壊した建物の解体・撤去を、
自治体が費用を負担して行う公費解体の申請は、
2万棟余り出されています。
しかし、
着工したのは申請数の12%、
工事の完了は4%にとどまっているのです。
その背景に何があるのか。
金沢市の解体業者を取材しました。
>>解体作業を行うのは、
会社から100キロ以上離れた珠洲市ですが、
毎日通うのは難しいため、
穴水町に宿泊場所を自分たちで確保しました。
それでも珠洲市の現場までは片道1時間ほどかかります。
屋根や壁、
柱などは重機を使って撤去しますが、
木材や金属類などの分別は手作業です。
より分けた廃材はトラックに積み込み、
災害廃棄物の仮置き場まで繰り返し運びます。
この業者によりますと、
1つの現場で解体を終えるには1週間から10日ほどかかるという
ことです。
>>業界団体や各自治体によりますと、
来月ごろからは、
本格的に解体作業を進められる見通しだということです。
石川県は公費解体を来年10月までに完了させる計画を立てていま
すが、今後は大量の廃棄物を運び出すことが大きな課題になります。
>>輪島市の中心部です。
地震から半年がたった今も、
辺りの様子は大きくは変わらず、
復旧は道半ばといった印象です。
能登地方はもともと過疎化が進んでいましたが、
このまま復旧や復興が遅れてしまえば、人口の流出がさらに加速す
るおそれもあります。
仮設住宅の建設は進んでいますが、その先の生活のことまでは、
考えられないというのが、今の被災地の現実です。
それでも多くの人たちが自然に囲まれたふるさとで、元のように暮
らすことを願っています。
能登半島の状況を考えると、これ
までにない長期的な支援が必要になるかもしれません。
それをどのように実現していくのかが問われています。
>>あの地震で大切な家族を亡くした人、
大事ななりわいを失った人。
今、さまざまな思いを抱えながら、
前へ進んでいます。
金沢市の大間圭介さんです。
妻と3人の子どもを亡くしました。
>>開けることができなかったというこの宝箱。
家族の思い出が詰まっていました。
>>地震のあと、
大間さんは、
家族との思い出やメッセージをインスタグラムで発信するようにな
りました。
妻や子どもを忘れないでほしいと
いう思いからです。
>>3月17日の投稿です。
この日は長男、
泰介くんの誕生日。
ケーキの画像に添えたメッセージには。
大好きだった焼き肉屋さんに行って、自宅に帰ってきてから、ケー
キでお祝いしました。
みんないたら楽しかったのに。
1人でバースデーソングを歌ったら涙が止まりませんでした。
写真に収まる家族と向き合うのがつらいときもありますが、
投稿をやめるつもりはないといいます。
掛けがえのない日々を発信することで、妻や子どもたちと共に生き
ていきたいと考えているからです。
>>一瞬で奪われた生活の糧。
それを取り戻そうと、歩み続ける人がいます。
南谷美有さんです。
>>朝市通りで母親と共に営んできた露店。
店の自慢はこちら、
手作りの塩辛で、
能登伝統の魚しょう、
いしるを使った品です。
しかし、
あの日の揺れで工場は全壊し、
仕込んでいたいしる7トンすべてを失いました。
>>もう店を続けることはできないかもしれない。
そう悩んだこともありましたが、
祖母や母から受け継いだ味を守りたい一心で、再建を決意します。
そのための資金はクラウドファンディングで2000万円以上集め
ました。
>>朝市通りの再建に向けた話し合いにも、
積極的に参加しています。
>>半年がたって、
少しずつ心に余裕が生まれ、
未来のことを考えられるようになってきたと話してくれました。