日本とフィリピンの外務・防衛閣僚協議で確認された方針
日本は東シナ海、フィリピンは南シナ海、それぞれ中国の海洋進出に直面しています。
きょう、この2か国が外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2を行い、力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対し、連携していくことを確認しました。
フィリピンで開催された2年間ぶりの2プラス2会議とその成果
フィリピンの首都マニラで行われた2年ぶりの2プラス2。
日本から上川外務大臣と木原防衛大臣が、フィリピンからマナロ外相と、テオドロ国防相が参加しました。
協議では、中国を念頭に東シナ海や南シナ海での力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対し、連携していくことを確認しました。
また日本として、南シナ海での紛争の平和的解決に取り組むフィリピンに対し、支持を表明しました。
そして共同訓練のほか、防衛装備品や技術協力を通じて、自衛隊とフィリピン軍の相互運用性を向上させていくことや、両国にアメリカとオーストラリアを加えた4か国での協力を強化していくことも確認しました。
共同訓練を巡り、両政府は円滑化協定に署名しました。
自衛隊とフィリピン軍が共同訓練などを行う際に、実施される国が決めた手続きに従えば、武器や弾薬の輸送・保管を可能にすることや、事件・事故が起きた場合の裁判権などをあらかじめ取り決めておくもので、災害支援の際にも適用されます。
今後、国会審議を経て正式に締結されれば、イギリス、オーストラリアに続き、3か国目となります。
同盟国のアメリカとは、日米地位協定の中で規定されています。
両国が、安全保障面での連携強化を急ぐ背景には、南シナ海での中国の威圧的な行動に、危機感を強めていることがあります。
中国海警局の船がフィリピンの船に、放水銃を発射し、けが人が出るなど、中国の行動は、年々エスカレートしています。
日本としても、原油を輸入する際のシーレーンであるため、南シナ海の安定は重要なうえ、中国の行動を許せば、ほかの地域でも一方的な現状変更の動きを強めていくのではという懸念があります。
ただ、事態の打開は容易ではなく、外交面での取り組みも強化し、東南アジア各国をはじめ、国際社会を味方につけていくことが不可欠といえそうです。