日米2+2会合の焦点:自衛隊と在日アメリカ軍の指揮・統制の向上
日米の外務・防衛閣僚協議、いわゆる2+2が東京で行われました。
自衛隊とアメリカ軍の部隊連携を円滑にするための指揮・統制の向上に向けて、アメリカ側が、在日アメリカ軍を再構成する考えを示し、両国で協議していくことになりました。
1年半ぶりとなる日米の2+2。
冒頭、両国の閣僚からは協議のテーマとなったのが、自衛隊とアメリカ軍の指揮・統制の向上。
アメリカ側は、在日アメリカ軍を、インド太平洋軍司令官の指揮下の統合軍司令部として再構成する考えを示しました。
再構成する組織は、自衛隊に創設する統合作戦司令部の重要なカウンターパートになるとして、両国で作業部会を設置し、緊密に協議していくことで一致。
アメリカとしては、日米を基軸として抑止力を高め、中国やロシア、北朝鮮に対応していく構えです。
このほか、協議では、防衛装備品の共同開発・生産を巡り、地上配備型の迎撃ミサイルPAC3などの生産能力拡大のために、共同生産の機会を追求していくことで一致しました。
また、沖縄のアメリカ軍兵士による性暴力事件を念頭に、事件・事故に関する情報共有のため、継続的に調整していく重要性を強調しました。
そして、2+2のあと、同じ4人の閣僚が出席したのが、アメリカの核戦力などで日本を守る、拡大抑止に関する日米の初めての閣僚会合です。
協議では、日本周辺の安全保障環境を巡り、意見を交わしたうえで、日米同盟による抑止態勢を強化していく必要性を確認しました。
拡大抑止に関する初の閣僚会合と日米同盟強化の重要性
防衛省幹部の1人は、4月の首脳会談で合意した日米同盟の強化策を推進していくことを確認できたことが成果だと話していました。
バイデン大統領が再選を断念し、アメリカの政治情勢が混とんとする中、同盟強化の方針は揺るがないということを、内外に示すねらいがあったと思います。
同盟関係に隙間を生じさせないことが重要になります。
中国や北朝鮮が軍事的な活動をエスカレートさせないためにも、日本としては、アメリカ側とあらゆるレベルで緊密に連携していく考えです。
ただ、防衛省・自衛隊では不祥事が相次いでいます。
また、アメリカ軍に対しては、沖縄での兵士による性暴力事件で、地元から強い反発の声が上がっています。
日米双方が組織の在り方を見直し、再発防止などを徹底していくことも必要となります。
そして、今回は拡大抑止に関する会合も開かれました。
閣僚会合は初めてということなんですが、これ、どういった意味合いがあると見ていますか。
日本周辺での核の脅威が増していることへの危機感の表れだと思います。
北朝鮮は核・ミサイル開発を急速に進展させ、中国は核戦力の増強を急ぎ、ともにロシアと軍事的な連携を深めています。
政府関係者は、協議を通じて、アメリカの核の傘が機能していることをしっかりと示したかったと話しています。
一方で、広島、長崎の原爆の日を前にした日本での協議開催に、野党からは、被爆者などの思いを踏みにじるものだと批判する声も出ています。
政府には、議論を進めるにあたり、国民の理解を得ていくことも必要といえそうです。