片手で奏でるピアノの魅力
病気や事故などで片手が不自由になっても大好きなピアノを弾いて希望を見いだしている人がいます。
再び弾ける喜びがつながる場所になってほしい。
左手のピアニストとして活動する学生を取材しました。
先月都内のホールで行われたピアノコンサート。
よく見ると参加者は全員片手で演奏。
片手だけで弾くピアノコンサートです。
左手のピアニストとして活動する早坂眞子さん。
7年前に病気を発症し両手で演奏することが難しくなりました。
片手のピアノと出合い新たな可能性を見つけています。
東京音楽大学の大学院でピアノを学んでいる眞子さん。
いつも笑顔の絶えない24歳の学生です。
そんな彼女が学校に着くと真っ先にやることはピアノの自主練習。
左手だけで力強く演奏。
右手は一切使いません。
幼稚園からピアノを始めコンクールで数々の賞を受賞してきた眞子さん。
プロのピアニストを目指して音楽高校に進学しましたが高校2年生のとき右手に違和感を覚えるようになりました。
診断されたのは右手の局所性ジストニア。
脳の機能障害によって手や指などの筋肉が硬直し思うように動かせなくなる病気です。
新たな表現方法と活動の広がり
これまでと同じような演奏はできない。
そんなときに出合ったのが片手のピアノでした。
眞子さんにピアノを教えるのは彼女と同じく局所性ジストニアを患った左手のピアニスト智内威雄さん。
片手のピアノ曲は音の数が少ない分わずかな表現の変化で曲の印象が大きく変わる特徴があります。
また伴奏とメロディーの両方を片手でこなすため足元にあるペダルが重要だといいます。
そんな片手のピアノとの出合い。
眞子さんに今までなかった思いが生まれました。
それからは自主公演を行ったり片手のピアニストのためのコンサートの運営に携わったりなどまだあまり知られていない片手のピアノを広めるための活動を行ってきました。