袴田巌さんの無罪判決と検察の判断
一度、死刑が確定した袴田巌さんの無罪が、事件から半世紀以上の時を経て、確定することになりました。
静岡県で一家4人が殺害された事件の再審・やり直しの裁判で、袴田さんに無罪を言い渡した判決について、検察トップの検事総長が、控訴しないことを明らかにしました。
これにより、一度、死刑が確定した袴田さんの無罪が確定することになりました。
最高検察庁の畝本直美検事総長は談話を発表し、静岡地裁の無罪判決について判決は多くの問題を含む到底、承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容と思われるとした一方で、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり、法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、検察が控訴するのは相当ではないとの判断に至ったとしています。
刑事補償請求と責任追及の検討
袴田さんの弁護団は、47年7か月にわたって不当に身柄を拘束されたとして、国に刑事補償を請求することにしています。
刑事事件で身柄を拘束された人が無罪になった場合、法律に基づいて1日当たり1万2500円を上限に請求でき、請求が認められれば、最大で2億円を超える補償金が支払われる見通しです。
さらに、判決で捜査機関による証拠のねつ造や非人道的な取り調べが行われたと指摘されたことから、検察や警察の責任を追及するため、国と静岡県に損害賠償を求める訴えを起こすことも検討しているということです。