写真展で伝えられるウクライナの現状
玉本さんが国際NGO世界の医療団と共に開催している写真展では、ウクライナの子どもや女性、高齢者などのおよそ40点の写真が展示されています。
特に印象的な事例として、去年4月にロシア軍のミサイル攻撃を受けた集合住宅の中で亡くなったアリーナちゃんがいます。
彼女を含む6人の子どもと、合わせて市民23人が犠牲となりました。
国連人権高等弁務官事務所の報告によると、ウクライナ全土で戦闘によって亡くなった子どもは、先月までに650人に達しています。
今、ウクライナでは学校の授業が地下鉄の駅構内で行われるなど、戦時下の厳しい現実が続いています。
特に高齢者については、南部ザポリージャ州のオリヒウで電気も通わないアパートの地下室で生活する88歳のヴェラさんのように、多くの高齢者が危機的な状況に置かれています。
戦争がもたらす苦しみと支援の不足
また、戦闘で家族を失った女性たちも厳しい生活を強いられています。
ウクライナ政府は戦闘で亡くなった兵士の家族に対して5400万円の補償金を支給する制度を設けていますが、実際にはそれが届いていないケースもあります。
例えば、取材を受けた女性は、一枚の紙だけが届いただけで、将来の不安を抱えながら子どもと共に生活しています。
戦争の影響は、市民に深刻な負担をかけており、玉本さんはこの現実を伝えるために、意識を高めるための活動を続けています。