内田慶との深い友情と競輪界での活躍
平原は終わった、そんな声も聞かれるようになっていた。
それでも走り続ける理由があった。
20年以上も前に出会った親友の存在。
競輪学校時代の同期、内田慶さん。
2歳上の先輩だったが2人は友情を深めた。
今月、平原を直接、取材できる場があるということで内田さんは競輪選手としてデビュー後、両立していた自転車競技でも活躍。
国内大会を6連覇。
オリンピック出場も期待された。
一方の平原もデビュー8年目には、G1を初優勝。
競輪界、期待の星に。
2人はお互いの活躍を刺激に切磋琢磨するライバルでもあった。
しかし…。
内田さんは帰らぬ人に。
一度でいいから、一緒にKEIRINグランプリを走ってみたかった。
2人にとっての夢舞台を前に、平原は親友を訪ねた。
この日は内田さんの父・孝さんとも会うことができた。
お父さんが大事に管理しているのが、メッセージを書いてもらうノート。
平原も来るたびに名前を書く。
今回、お父さんが平原の名前に付箋を貼って数えてみたところ、15年間で100回を超えていた。
亡き友のために走り抜く平原康多
平原はこのときの気持ちを忘れないよう、写真を待ち受けにした。
舞台はあの日と同じ静岡。
友と2人で走るKEIRINグランプリ。
勝って日本一の報告をしたい!亡くなった親友のために走る男・平原康多。
落車により壊れた自転車でゴールを目指す。
痛む体で壊れた自転車で、ひたすら前へ。
その心中にあったものは、なくなった友の存在。
プロとして、どんなことがあっても最後まで走り抜く。