中小企業の賃上げの実態
中小企業から賃上げに関する相談が増えています。
従業員およそ100人の都内の美術画材を販売する企業では、去年、当時の最低賃金が時給1113円だったため、アルバイトを募集しても人が集まらず、時給を1250円に引き上げました。
しかし、これにより人件費の負担が増え、幹部の報酬を抑えることで何とかやりくりしているという実態があります。
また、中小企業と大手企業の賃金格差の拡大も懸念されています。
物価変動の影響を除いた実質賃金は、従業員が30人以上の事業者で3か月連続でプラスになっていますが、従業員5人以上では11月にようやくプラスに転じました。
このことは、規模が小さいほど賃上げが難しいことを示しています。
賃上げを巡る中小企業の三重苦
また、労働分配率も注目されており、中小企業では利益の71%が人件費に充てられている一方で、大企業は37%にとどまっています。
これは中小企業に余力がほとんどないことを示しており、専門家は賃上げ、金利上昇による債務負担、価格転嫁が中小企業にとって三重苦となっていると指摘しています。
さらに、独自の製品に付加価値をつけることで価格交渉力が強化され、結果的に賃上げも可能になるとされています。
このように、付加価値をつける経営が中小企業の競争力を左右すると考えられています。