ソクの昆虫学との出会い
日本の植民地時代の朝鮮半島で育ったソクは、17歳で鹿児島大学農学部の前身に進学し、農業を学ぶために入学しましたが、そこで昆虫学者の岡島銀次と出会い、その言葉がソクの昆虫学者としての道を開くきっかけとなりました。
ソクは卒業論文に昆虫の細かい特徴を精密に捉えたスケッチを描き、何百もの標本を丁寧に紙で包み、正確な記録を取って研究を進めていました。
岡島は、そんなソクの才能を見いだし、朝鮮半島のチョウの研究が日本人ではなく、現地の人に手がけてもらいたいという思いを寄せていました。
国際的評価と遺産
1939年、最新の知識を基にした朝鮮半島のチョウの分類をまとめたソクの本がイギリスの学術団体から出版され、国際的な高評価を受けました。
ソクは、江崎悌三や岡島への感謝を序文でつづりました。
戦後、ソクは朝鮮戦争の混乱の中で亡くなりましたが、彼のわずかな標本が日本に残り、日本の研究者たちは世代を超えてその標本を継承してきました。
このように、科学を通じた真理の追究という共通の目的が日韓の昆虫学者たちの交流を可能にし、未来の研究者たちが新たな発見をもたらす可能性を感じさせています。