伝統楽器としての新羅琴と和琴
ジョンソンさんによると、今回出展される花氈には他ではあまり見られない特徴があります。
縁の所に大きさがばらばらの点のような柄があり、日本からはるか離れた国の遊牧民たちの創意工夫が垣間見える作品です。
今回の展示品の一つである新羅琴は、朝鮮半島で発達した12絃の琴で、羊の耳のような形の緒留めが特徴で、表面には金箔を細く切り草花などが描かれています。
韓国に今も伝わり、伽耶琴と呼ばれて伝統音楽の演奏に使用されています。
専門家による演奏が行われ、そのリズミカルな演奏スタイルは主に宮廷のプライベート空間で楽しまれていたとされています。
これに対して、日本独自の琴、和琴の音色は琴さぎと呼ばれるピックで一気にかき鳴らし、音の余韻を残す弾き方が特徴で、主に宮中の神事で披露されてきました。
正倉院の宝物としての琴の価値
どちらの琴も正倉院宝物として大切に伝わっています。
海外からの文化と日本の文化が交じり合う宮廷の暮らしを思わせる音色が楽しめる新羅琴と和琴の演奏。
この度の正倉院展では、両方の琴の美しさを間近で楽しめる機会が提供されます。
これらの楽器とともに、正倉院宝物の中にある製作技術や芸術性もぜひご覧いただきたいと思います。