能登半島地震:災害関連死の認定審査初会合が開かれる
能登半島地震のあと、避難生活などの中で亡くなった人を災害関連死に認定するか判断するための審査会の初会合が開かれました。
石川県によりますと、合わせて35人の審査が行われ、このうち30人を災害関連死として認定するよう答申が出されたということです。
災害関連死の認定を求める申請は、石川県内で少なくとも100人に上っていて、地震による死者は大幅に増える可能性があります。
輪島市黒島地区の再建課題:伝統的町並みの保存と住民の負担
かつて、北前船の拠点として栄え、伝統的な黒瓦の景観で知られる、この石川県輪島市の黒島地区。
国の重伝建・重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれていますが、元日の能登半島地震で甚大な被害が出ました。
歴史的な町並みを再建させようとする動きも出てきましたが、大きな課題が浮かび上がっています。
能登半島北西部にある輪島市の黒島地区。
江戸時代以降に、北前船の船主や船頭が多く住んだ集落で、黒瓦や板壁の美しい景観が特徴でした。
それが元日の能登半島地震で一変。
建物の4割が全半壊しました。
国の重要文化財、旧角海家住宅も倒壊し、原形をとどめていません。
黒島地区の将来はどうなるのか。
住民の不安が募る中、先月28日に、輪島市が初めて説明会を開催。
多くの住民が避難先から戻って出席しました。
議論になったのが重伝建ならではの難しさです。
個人の住宅とはいえ、建物の修繕や解体には専門家の調査や行政の許可が必要です。
さらに住まいも兼ねる伝統的な建造物は、建材や工法も限られるため、大規模に修繕し、耐震化も行うと数千万円かかるといいます。
最大80%の補助を受けられる制度はありますが、上限が1000万円のため、住民からは支援の拡充を求める意見が相次ぎました。
このままでは再建を諦め、地区を去る住民が増えると懸念する声も聞かれました。
市の担当者は、補助の上限の引き上げを検討するとして、段階的な復旧に理解を求めました。
未曽有の大災害に襲われた黒島地区。
歴史的な町並みの保存は岐路に立たされています。
歴史を感じさせる町並みは地元の観光資源になり、地区の人たちも愛着を感じていますが、被災者である住民の負担が大きくなれば、肝心の生活再建が遠のきます。
輪島市は住民の負担が少なくなるように、修繕費の補助率や上限の引き上げに向けて、国などと協議を進めているということです。