紙幣のデザイン制作における工芸官の役割
今回特別に工芸官への取材を許されましたが、紙幣以外にも切手やパスポートなどさまざまな製品を作っています。
その中でも紙幣は大本の設計図に当たる原図のデザインが特に重要です。
紙幣に描かれる肖像や建物などの彫刻、中心部などにある透かしの制作、そして紙幣全体に施された細かい幾何学模様のデザインそれぞれを専門的な技術を持った工芸官たちが担当しています。
今回取材した工芸官は肖像などの彫刻の部分の制作を担当しました。
まず彫刻のための設計図となる人物のコンテ画を描く作業を見せてくれました。
肖像の細かな陰影を正確に表現するために点で描き、複数枚の写真を参考にしてその人物が一番活躍していた年齢をイメージして描きます。
次世代への技術継承と紙幣の進化
こうした工芸官の技術を次の世代に継承する取り組みも行われており、全国の美術系の大学で工芸官たちが彫刻技術を教える特別講義が始まりました。
工芸官が携わる製品の中でも紙幣は一番特別なもので、次の紙幣に向けて技術は受け継がれ進化していきます。
手作業で作られているこの紙幣には、偽造防止にも大きな役割を果たす技術が詰まっており、アナログ技術の重要性が再認識されています。