福島第一原発事故と旧経営陣の起訴
東京電力福島第一原発事故の発生から14年を前に、司法の判決が示されました。
原発事故を巡り、東京電力の旧経営陣が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判で、最高裁判所は検察官役の指定弁護士の上告を退け、無罪が確定することになりました。
無罪が確定することになったのは、東京電力の武黒一郎元副社長と、武藤栄元副社長です。
2人は、去年亡くなった勝俣恒久元会長とともに、福島県の入院患者など44人を、原発事故からの避難の過程で死亡させたなどとして、検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されました。
裁判で主な争点となったのは、震災前に国の機関が公表した地震の予測、長期評価の信頼性です。
最高裁判所の判断と無罪確定
最高裁判所第2小法廷の岡村和美裁判長は、長期評価は当時の国の関係機関の中で信頼度が低く、10メートルを超える津波を予測できたと認めることはできないとし、上告を退ける決定をし、元副社長2人の無罪が確定することになりました。
去年亡くなった勝俣元会長は起訴が取り消されていて、未曽有の惨事となった原発事故について、旧経営陣は刑事責任を負わないとする判断が確定します。