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ジョージアでの抗議活動と法案の影響

ロシアを想起させる法案の可決と反発

旧ソビエトの構成国の1つ、ジョージア。

EU・ヨーロッパ連合への加盟を目指すこの国で今、ある法案を巡って、大規模なデモが続いています。

その法案は、政権の意向に沿わないメディアや団体などの活動を制限するものだとされ、ロシアにも同じような法律があります。

ヨーロッパ寄りの姿勢を強めていた旧ソビエトの小国で、ロシアの影がちらつき始めています。

騒然としたジョージアの議会。

今月14日、法案の採決を与党が強行し、賛成多数で可決されました。

外国から20%以上の資金提供を受けるNGOやメディアなどの団体に対し、スパイを意味する、いわゆる外国の代理人として国への登録を義務づける法案で、ロシア法とも呼ばれています。

同じような法律をロシアが導入しているためです。

プーチン政権は、ノーベル平和賞を受賞した独立系新聞の元編集長を、外国の代理人として指定するなど、政権に批判的なメディアや政治家の弾圧に利用してきました。

ジョージアで法律の制定を目指す与党の幹部は。

EU加盟への影響と今後の展開

市民も反発しています。

欧米寄りの路線を取り、EUやNATO・北大西洋条約機構への加盟を目指すジョージア。

過去には、ロシアが軍事侵攻し、一方的に独立を承認した地域に、今も軍を駐留させています。

EU加盟国からも、EUの価値観にそぐわないといった批判が出ていて、法が成立すれば、加盟交渉が停止されることを示唆する声も出ています。

では、取材に当たっているモスクワ支局の野田支局長に聞きます。

野田さん、ジョージアなんですが、これ、結局、ヨーロッパ寄りなのか、それともロシア寄りなのか、どちらの立場なんでしょうか。

基本的にはヨーロッパ寄りのスタンスに変わりはありません。

ちょうどきょう26日は、ジョージアの独立記念日です。

ロシアから離れたいという声は、一層強まると見られます。

ただ、与党側には、ことし10月に予定される総選挙を前に、政権に批判的な団体などを押さえ込む手段を確保しておきたい思惑があると指摘されています。

また、ロシアへの輸出やロシアからの投資は、ジョージア経済の成長につながっているほか、ウクライナ侵攻を目の当たりにし、ロシアを刺激し過ぎることへの安全保障面での不安もあります。

では、法律制定の動きの背景にロシアがいるのかという点ですけれども、欧米メディアは、イワニシビリ元首相の意向が働いているとの見方を伝えています。

イワニシビリ氏は、ロシアで財を成した富豪で、ロシアとの関係が深いとされています。

ロシアは、表向きは中立の立場だとしていますが、ヨーロッパから離れる動きが加速することを好ましく思っているのは間違いないと思います。

野田さん、法案は与党の強行採決によって可決されましたけれども、今後、どういった展開が考えられるんでしょうか。

法案は、ヨーロッパ寄りのズラビシビリ大統領がロシアの法案だとして署名を拒否しましたけれども、与党側は今月中に再び可決させ、法律の成立を強行する構えです。

欧米各国は、与党側に撤回を求めるなど、働きかけを強めています。

世界的に見て、ロシアや中国などの権威主義的な国家と、民主主義国家の対立も指摘される中、ジョージアが民主主義を守っていけるのか、単に1つの国の混乱としてではない、広い視点で、情勢を注視していくことも大切だと思います。

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